トマ・ルルー / テューバ
2012年、24歳の時に、フランスのグラミー賞として知られるヴィクトワール・ドゥ・ラ・ミュージックで、テューバ奏者として初めて最優秀器楽ソリスト賞を受賞。縦横無尽にあらゆるジャンルを駆け巡る型破りなアーティストであり、ソリストとしてのキャリアを築く稀有なテューバ奏者である。
 クラシック、ワールド・ミュージック、現代音楽、ポップスなど、多様なジャンルを行き来し、「真の天才テューバ奏者」(ラ・ヌーヴェル・レピュブリック紙)、「テューバ界の世界的スター」(フレデリック・タデイ、ラジオ:ヨーロッパ1)、「テューバ界のパガニーニが見つかった!フルートのジャン=ピエール・ランパルやトランペットのモーリス・アンドレのように、トマ・ルルーはテューバという楽器を象徴する逸材である」(フレデリック・ロデオン)などと称されている。
 17歳でパリ国立高等音楽院に入学し、テューバをジェラール・ブーケに、室内楽をイェンス・マクマナマ師事。3年後に首席で卒業した後、デトモルト音楽大学でハンス・ニッケルに師事。2008年マルクノイキルヒェン国際器楽コンクール第3位、2008年チェジュ国際管楽器コンクール第2位など、多数のコンクール歴を誇る。19歳でマルセイユ歌劇場管弦楽団の首席テューバ奏者に就任し、その後10年にわたりオーケストラで演奏活動を行った。
 ヨーロッパ各地のテレビやラジオ番組に多数出演しており、2018年にはローランド・ヴィラゾンに招かれ、アルテ放送のテレビ番組「スターズ・オブ・トゥモロー」に出演、好評を博す。
 これまでに、シャンゼリゼ劇場、シャトレ座、プロヴァンス大劇場、サル・ガヴォー、ベルリン・コンツェルトハウス、リンツ・ブルックナーハウス等のコンサートホールのほか、メクレンブルク=フォアポンメルン音楽祭、MITO音楽祭、キッシンゲンの夏音楽祭、ブランデンブルク・サマーコンサート、モンペリエ音楽祭、ランス音楽祭、リンツ国際ブラス音楽祭等にも出演している。また、イル・ド・フランス国立管弦楽団、マルセイユ歌劇場管弦楽団、パリ室内管弦楽団等のオーケストラと共演している。
 2015年、フォンダメンタ・レーベルからリリースした『In The Mood For Tuba』が、批評家や聴衆から高い評価を得た。2017年、王立ベルギー空軍軍楽隊の共演でアンドレ・ウェニャンの「インプレッションズ・フォー・テューバ」の録音をリリース。
 現代音楽にも積極的に取り組み、リシャール・ガリアーノ、ウラジミール・コスマ、クロード・ボリング、ジャン=フィリップ・ヴァンブスラール、マーク・ステカー、アンドレ・ウェニャン、ドミニク・プロブストといった作曲家から作品が捧げられている。
 革新的なアンサンブルを結成し、「トマ・ルルー六重奏団」(テューバ&弦楽五重奏)、「テューバ VS チェロ」、「トマ・ルルー・トリオ」(テューバ&ヴィブラフォン&ピアノ)といったユニークな編成で唯一無二のプログラミングを展開させている。自身オリジナルのエンタテイメント・ショー「ザ・テューバズ・トリップ」では、ロックをはじめ世界中の音楽要素を取り入れ、歌やダンスなど多様な演出を盛り込んだ舞台が好評を得て、長年にわたり上演を続けている。
 後進の指導にも熱心で、パリ国立高等音楽院、ハンス・アイスラー音楽大学、ベルリン芸術大学をはじめ、世界各地でマスタークラスを開催している。
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